高いQOLを保つ

透析療法は、機能しなくなった腎臓の代わりに血液をきれいにする治療法で、血液透析と腹膜透析に分けられます。透析療法の目的は、老廃物や余分な水分の除去と、体内に不足している物質を補うことです。 しかし、透析によって腎臓の機能を完全に代替できるわけではなく、透析を続けていく中で合併症などの問題が生じてくるのも事実です。日常生活の中で様々な制限があり、注意していくことが必要となってきますが、透析を受けることで、ある程度普通に生活することが可能となります。 当院では血液透析療法を主に提供しております。

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5つの働き

水分バランスの調整

体内の水分バランスが常に一定になるように、尿量を調整しています。とても暑い夏の日に喉がカラカラのときは、体に水分が不足している状態なので腎臓は尿量を減らします。また反対に、たくさん水やお茶を飲んだときは体内に水分が余っているので、腎臓は尿をたくさん作り水分を排泄し水分のバランスをとっています。

老廃物の排泄

食事により吸収された栄養素が分解され生活のエネルギーとして利用されますが、自動車の排気ガスと同じように体に利用されない老廃物が産生されます。これを尿毒素といい体内には不要な物質であるので、腎臓から排泄されることになります。

電解質のバランス調整

ナトリウム、塩素、カリウムやカルシウムなどは電解質といわれます。生命を維持するためにはこれらの電解質の濃度は厳密に一定に保たれていなければいけません。腎臓はこれらの電解質の濃度を一定に保つように調整する役割を持っています。

酸塩基平衡の調整

人間の体は常に弱アルカリ性に保たれています。腎臓は酸を排泄したり、アルカリを再吸収しバランスを保っています。

ホルモンの分泌

血圧を調整するホルモンや赤血球を産生させるホルモンを分泌しています。また、カルシウムの吸収に関係するビタミンDを活性化させています。

明日は変えられる

腎臓の機能が低下して正常に働かなくなった状態を腎不全といいます。腎不全には急性腎不全と慢性腎不全とがあり区別されます。急性腎不全は多量の出血や薬剤などが原因となって急激に腎臓の機能が低下した状態のことで、適切な治療を受ければ、かなりの部分の回復が見込めます。これに対して慢性腎不全では、何らかの原因により腎臓の機能が徐々に低下していき、体内の正常な環境を維持できない状態をいいます。慢性腎不全を治す有効な治療法は今のところなく、透析療法や腎移植が必要になります。

急性腎不全

急性腎不全とは何らかの原因で腎臓のろ過能力が急激に減少し、それに伴い尿量が減ってしまう病気です。原因には脱水症状や多量の出血、心筋梗塞、腎毒性の強い薬による副作用、造影剤、心臓や腹部の大手術後、重症感染症、前立腺肥大症、卵巣癌、子宮癌などがあります。急性腎不全では、早期の治療で元どおりに回復する可能性があります。

慢性腎不全

慢性腎不全とは腎臓の機能が徐々に低下し、「尿をつくる装置」であるネフロンが破壊され、腎臓のろ過能力が正常時の30%以下となり、体内の正常な環境を維持できない状態をいいます。 とくにろ過能力が10%以下になると尿毒症になり、さまざまな症状が現れます。尿量は末期まで健康な人と同程度ですが、夜間に増えるのが特徴です。そして、最終的には尿量が減少し、乏尿になります。 この原因の代表的なものは、IgA腎症、糖尿病性腎症、高血圧性腎障害(腎硬化症)ですが、それ以外にも多発性嚢胞腎、慢性腎盂腎炎、ループス腎炎、急速進行性糸球体腎炎など、多くの原因疾患があります。 慢性腎不全は今のところ残念ながら完全に治すことができないので、透析療法や腎移植が必要になります。

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理解から

尿毒症は、腎不全の進行により尿毒症性物質の尿素窒素(UN)、クレアチニン(Cr)、カリウム(K)、リン(P)などが体内に蓄積し、カルシウム(Ca)などが低下します。 症状は、倦怠感、吐き気、食欲不振、むくみ、頭痛、顔色不良、呼吸困難、出血症状、高血圧、貧血などがみられます。

血液透析

血液透析では、透析を行う機械で血液を循環させます。腕の血管に針を刺し、血液回路を透析装置(コンソール)にセットします。この回路に血液を循環させるのが血液ポンプの働きです。血液が血液ポンプにより動脈側回路より取り出され、ダイアライザーに送られ、半透膜で作られた細い中空糸の中を通り、きれいになった血液は、静脈側回路を通って体内に戻されます。

透析は、半透膜を利用した拡散と限外ろ過の原理によって行われます。『拡散』とは、半透膜を境にして濃度の異なる溶液を入れた場合、中の物質は濃度の高い方から低い方に移動し、最終的には混ざり合って濃度は均一になります。この現象を拡散といいます。
『限外ろ過』とは、半透膜の片側の溶液に圧力がかかった場合、溶液は膜の反対側に押し出されます。このように、溶液に圧力をかけて水を移動させることを「限外ろ過」といいます。血液透析では、透析液に陰圧(引く力)をかけることによって除水しています。

血液透析とは、血液を体外でダイアライザー(人工腎臓)を使って、透析、すなわち拡散と濾過の原理により、血液中から体内に蓄積した老廃物や水分を取り除き、電解質のバランスを是正することです。 透析に要する時間は、1回4時間前後、週3回が基本となります。

長期透析における合併症

  • ”アミロイドーシス”

    透析で十分に取り除けないたんぱく質の一種がアミロイドという物質に変化し、骨や関節に沈着し、痛み、変形、運動障害をおこしてきます。代表的なものに手根管症候群があります。

  • ”骨の障害”

    腎不全のためビタミンDの活性化が障害され、カルシウムの吸収が悪くなり、骨が弱くなります。

  • ”動脈硬化”

    透析患者さまは尿毒素、カルシウム・リン代謝異常、体液量の増加などが動脈硬化の促進に影響しています。

  • ”心不全”

    体内の水分量が過剰な状態が続くと心臓に負担がかかります。透析毎に心臓に大きな負担がかかる為、働きが悪くなってしまいます。

  • ”感染症”

    透析患者さまは一般に免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなっています。

ドライウェイトについて

透析治療時に目安とする基準体重のことをドライウェイトといいます。
透析を受ける患者さまは尿が十分に出ない状態ですので、摂取した水分は体にたまり続け、その分体重が増加します。 そのため、透析により体内の余分な水分を除去しなければなりません。
しかし、それが過剰や不足となってはいけません。
その為、透析で除去する適正な水分量を患者さまごとに設定し、目安となるドライウェイトを決める必要があります。しかし、患者さまの食事量などで本来の体重が変化しているにもかかわらず、ドライウェイトをそのままにすると除去する水分量が適正ではなくなり、体調不良となってしまいます。

変化に応じてドライウェイトをいつも正しく決めておくことは、透析患者さまが体調を良好に保つために非常に重要なことです。

透析食

透析食のポイントは、水分や塩分を控え、適切なたんぱく質と充分なカロリーを摂り、カリウム(K)、リン(P)の摂り過ぎに注意することです。
水分や塩分の摂り過ぎは高血圧、むくみ、肺水腫を招き、カリウム(K)を多く含む果物などの食べ過ぎは、脈がみだれ、心停止、突然死の原因となります。 また、リン(P)の過剰摂取はかゆみの原因となり、副甲状腺機能亢進症を来たし、骨がもろくなります。
透析療法の中で食事の良し悪しが、予後に大きな影響を及ぼします。

水分・塩分

過剰摂取

高血圧、むくみ、肺水腫を招く

タンパク質

過剰摂取

老廃物の蓄積、尿毒症症状の悪化

カリウム

過剰摂取

脈がみだれ、心停止、突然死の原因

リン

過剰摂取

かゆみ、骨がもろくなる

透析患者さま向けの献立ポイント

体重増加防止

食事の味付けを薄くして塩分や糖分を控えることが、のどの乾きを防ぎ、飲水を減らすことにつながります。薄味になれることです。

果物摂取を控える

カリウムがたくさん入って殆どが水分であり、吸収が早く、血中K濃度が急に上昇するため心臓への悪影響が大きいです。

添加物のリン酸塩

いろいろな加工食品に使われている添加物のリン酸塩もリンが含まれています。生の食材を準備して調理することをお勧めします。また、スナック菓子、チョコレートにもたくさん入っていますので控えましょう。